ZBrush キャラクター&クリーチャー

Aug.
26

3DTotal制作の『ZBrush Characters & Creatures』の日本語版がボーンデジタルさんから発売されました。
タイトルどおり、クリーチャーとキャラクターを作成するための様々なテクニックが掲載されてます。数多くのプロクリエイターの作例を読むことができ、それぞれのクオリティが高く、すごく参考になります。

この本を制作されている当時はZBrushのバージョンがZBrush4R7ではないようですので、ZModelerを使用した作例はありませんし、レンダリングにKeyShotを使っている作品もありませんでしたが、そんな事はこの本の伝えたい本質とは関係なく全然問題ではないので大丈夫です。
かつて『ZBrush キャラクタークリエーション – 高度なスカルプティングテクニック』というScott Spencer著の本がありました。6年前の本です。当時はまだDynaMeshが機能として搭載されてなかったので、UnifiedSkinとProjectを使ってダイナメッシュ的手法を使っていたわけですが、その方法を解説していた良本です。当時のZBrush使いは皆、この本を持っていたのではないでしょうか?
ここで紹介している『ZBrush キャラクター&クリーチャー』はDynaMeshの機能が搭載されて以降のZBrushスカルプトのワークフローを基本として解説されています。内容としては以下のような構成です。

【目次】
01 スピードスカルプト
02 四足歩行
03 クリーチャー
04 エイリアン
05 プロジェクト1:ファンタジー系クリーチャー
06 プロジェクト2:SFキャラクター

章によってはサンプルデータも用意されており、3DTotalのサイトからダウンロードすることが可能です。スピードスカルプトのpart2のゾンビの作例は2時間半に及ぶ制作工程のタイムラプス動画が用意されています。記事と合わせて見ると非常にわかりやすいです。

各章につき、いくつかの作例が用意されています。たとえば最初のスピードスカルプトの章では4人のアーティストがそれぞれ作例を解説しており、4つのスカルプト作品の制作工程を読む事ができます。この本は中級者以上向けです。初心者には理解するのが難しいです。具体的にいうと、ZBrushで一般的によく使われる機能がどこにあって、どういう作用をする機能なのかが分かっていないとスムーズに読み進める事ができません。
また、複数のアーティストが各々で作例を解説しているという構成上、同じ機能の説明が被ってしまう事もあります。しかし、その同じ機能についてそれぞれのアーティストがどういう考えでその機能を理解し使っているのか?どのように解釈しているのか?という部分は違いがあって興味深いところでした。
この本はステップバイステップで進めていく丁寧なチュートリアルではありません。各アーティストの制作ワークフローのそれぞれの段階に注目して読んでいくといいと思います。

  • コンセプト段階では、ドローイングからはじめているアーティストもいれば、リファレンスを集めているアーティストもいます。
  • シルエット段階では、最初からダイナメッシュにしている方もいればSDivを活用したMulti-Resolution Mesh Edittignではじめていく方もいます。
  • スカルプト段階、仕上げのディテール段階では、どのようなブラシやツールを使ってスカルプトしていくのかを解説してくれます。
  • ポリペイント段階では、SpotLightを組み合わせてテクスチャを転写したり、レイヤーを使っている方もいれば、Stencilという古い機能を使っている人もいます。
  • レンダリング段階では、BPRを使ってPhotoShopで合成して完成させる用のレンダーパスをつくる方法を紹介しているアーティストもいれば、V-Rayを使ってレンダリングしているアーティストもいます。

いろいろなプロクリエイターのワークフローが学べて面白かったです。最後2つの章(05 プロジェクト1:ファンタジー系クリーチャー・06 プロジェクト2:SFキャラクター)は解説に多くの頁が割り当てられてます。最後のSFキャラクターの章ではポージングする際にTrasposeMasterを使用しているにも関わらず、身につけているサブツールを一緒に動かしてポージングせずに、[TPose→SubT]をして戻した後に身につけているサブツールの位置をひとつづつ移動、回転させてポーズに合わせるという面倒な事をしていたりもします。簡単にポーズ設定をするためとのことですが、むしろ難しくなっているのでは?と思ってしまいました。

ZRemesherはもともとはQRemesher(Quick Remesherの略)という名前の機能でしたが、この名前がでてくる作例もあります。ZRemesherに読み替えて問題ありません。

初心者の方には難しい本ですが、理解できるようになった時には一読しておくことをお勧めしたいです。というのも、ものすごく大事なZBrushの使い方が随所にでてくるからです。一例として、形状の投影(Project)をする際に、もっとも高いSdivに一発でProjectをかけるのではなく、低いSDivから順番にProjectを適用していくといった、実作業を知るZBrush使いならではのポイント解説があります。

私の場合はかなり前に、アクティブでないサブツールの色の濃さを変える事ができる機能を触って、それがどこにあるのか失念してしまっていたのですが、この本の四足歩行の章でその機能について言及されていてとてもスッキリしました。

ZBrushでクリーチャーを作る人は凄く多いです。あんな気持ち悪いモノつくって何が面白いの?とおっしゃる方もいらっしゃいますが、ZBrushの機能を色々と試しつつ自由に楽しみながらスカルプトをするのにクリーチャーはいい題材だと思います。
人間キャラクターを作りたいのはわかります!そんなもんみんな作りたいんです。
でも、操作に慣れていない、解剖学も頭に入っていないうちに人間キャラクターに挑戦して心折れてZBrushを諦めてしまう人を私は見てきました。いきなり見慣れた人間を作ることに挑戦してうまく出来ずに心折れてしまうぐらいなら、気持ち悪くても…いや気持ち悪くなくてもいいんです。かわいくてもいいんです。自分の中の世界にのみ生息するクリーチャーを作るところから始めて、徐々にZBrushに慣れていくのがいいと思います。

もし、人から
「こんなクリーチャーないわー!」
とか言われても、
「いやいや、そんな事言われても私の世界にはいるんだよ!」
でいいんですよ。
数をこなしていくうちに、ファンタジーとリアリティが融合できるようになってきて存在感や説得力が出てくると思います。

『ZBrush キャラクター&クリーチャー』は内容、そしてサンプルでモデルや動画ファイルがあることを考えると値段以上の価値はあります。お勧めです。

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